蒼い影(21)
梅雨が明けたとゆうのに、北越後の空は曇天続きで、たまに晴天があっても続かないが、温暖で比較的凌ぎやすい。最も農家では稲作が少し心配になる。報道によれば、エルニューヨ現象の影響とかで、今から冬は暖冬か?などと一喜一憂しているが、歳をとると習性から先走って余計な心配をするものだ。山上健太郎の家は、閑静な農村の中心部にあり、彼は3代前からの旧家を引き継いでいる。健康を理由に教師を定年前に退職後、高校講師と家庭農園を適当に楽しんでいる健太郎の家族は、秋田出身であるが高校卒業後東京に出て看護師をしていたが、先輩の亡秋子さんの世話で紆余曲折を経たが縁あって、昨年来、健太郎と夫婦となり大学病院の看護師をしている妻の節子、それに、亡き秋子さんの忘れがたみの高校生の理恵子の3人である。それぞれが数奇な運命を背負いながらも家...蒼い影(21)